ローマの休日

映画「ローマの休日」を学生時代以来くらいで久々に観る機会がありました。

The Roman Holiday

私は大学での専攻が映像だったこともあり、映画は結構見ています。特にこの歳の割には50年代の映画なども多く観ています。実は「ローマの休日」はそういった中ではあまり記憶に無い映画でした。オードリー・ヘップバーンを売り出すための映画とは思いませんでしたが、おとぎ話としてはエンディングは寂しいですし、現実の物語としては非現実的です。グレゴリー・ペックも他の映画ほど、素晴らしい演技には思えませんでした。

The Roman Holiday

それにプラスして、実はオードリー・ヘップバーンという女優が苦手だったんですね。何かこう非現実的というか、ロボット的というか、心が無いような気がしてたのです。

ローマの休日

今、この歳で改めて観てみると、非常に良く練られた映画でした。台詞もお洒落で小気味が良いです。グレゴリー・ペックも始めはスクープとしてしか見ていなかった王女に徐々に惹かれて行きながら、最後の一線を守るという記者を非常に上手く演じていると思いました。そして、オードリー・ヘップバーンです。凛とした美しさと、あどけなさが入り混じっていて本当に魅力的でした。撮影当時既に24歳とかのはずですが、もう少し若く見えますね。設定がそうなのかもしれませんけど。ちなみに、グレゴリー・ペックが当時36歳くらい。私の方が年上です。こんな渋みのある人間にはなかなかなれませんねぇ…。

ベースとなる脚本はなんてことのないものです。男女が出会うが、叶わぬ恋に落ちる。ただそれだけです。それをこのようなチャーミングな作品に仕上げるというのは素晴らしいですね。監督のウィリアム・ワイラーは当時沢山いた職業監督というか、ジャンルをこだわらない監督で、「嵐が丘」のような古典から「コレクター」のような変わった作品まで様々な作品を撮っています。

しかも調べてみたら、脚本には赤狩りで排斥されたダルトン・トランボが絡んでいたとか…。ダルトン・トランボは昔、偉人などを紹介する漫画で知り、その生きざまに非常に感銘を受けました。

色々観よう!

個人的には本当に過小評価していた「ローマの休日」をこんなに楽しめたということは、もしかすると他にもそんな映画が沢山あるのかもしれません。今後は本当にえり好みせず、色々観ようと感じましたね。

ところで、「ローマの休日」は作品中に著作権表記が無かったために、アメリカではパブリックドメインなんだそうです。つまり、著作権ナシ。日本でも著作権保護期間が2003年に終了したそうです。良く見る激安DVDはこういった背景で作られているようです。

ただし、こういった製品の中にはVHS用に作られたマスター、つまり4:3にトリムされた映像をそのままDVD化して販売しているモノもあるようで(今回観たのが正にそういった感じのものでした)、解像度も悪く、本当の意味で映画を楽しめません。お金に余裕のある方ならホームシアターで、大スクリーンで、と言う感じでしょうけど、そこまでいかなくても数百円~数千円の差できっちりとデジタルリマスターされて、トリムされていない映像も観ることができるので、もし観るならそちらがお薦めです。

こちらはフルフレームでちゃんと観れるそうです。買おうかと思っています。

エコー8

ガジェット好きな私が堪らないのが、この作品に出てくるエコー8というライター型カメラです。とても重要な小道具になっています。特に最後のシーンの王女と記者の重い空気を取り払うカメラマンの軽妙さが嬉しいです。

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